2011-01-01から1年間の記事一覧

5本

『ミラノ、愛に生きる』 富豪に嫁いだロシア出身のヒロインの心身の解放を描く。 故郷を捨てた悲哀、夫によりモノ化された日常、能面のような表情で暮らす贅沢三昧・・・。 人間の本能である「食」に触発され、虚飾に満ちた人工の世界〜自然児へと脱皮するプ…

4本

『ストリートダンス』 コンテスト優勝をめざすロンドンのダンスチームを描く物語。 元気を与えてくれるこのダンスが好きだ。 吹き替えには面食らったが、スタジオの確保と他チームとの差別化を図るため、 クラシックバレエとの融合に活路を見出すアイデアが…

5本

『恋の罪』。鬼才園子温の傑作。 4人の女性の生きざまを通して、抑圧された究極の深層心理を抉り出す。 言葉と肉体、表象と意味のズレは、永遠に辿りつけない「城」を目指して旋回するようなもの。 人間が唯一、辿りつけるのは「死」だが、予測のつかない展…

大鹿村騒動記

娯楽映画としての評判は上々のようだが、大鹿村のファンの1人として、いくつか不満な点がある。 この村は私のお気に入りのスポット。長年かけて秋葉街道を走破する過程で、15年前から6、7回訪ねている。村の隅々まで車で走ったが、「日本で最も美しい村」…

『奇跡』&『風の中の子供』

・『奇跡』で 子どもたちはとにかく道を走る。 それも半端じゃなく真剣に。 「生きる」とは「死」への道程だ。道を辿る行為は、願いや欲望を超えて「世界」を開く。 奇跡とはまさに世界の開かれだ。彼らの叫んだ言葉は転がり、周辺を巻き込み、思いがけない…

『悲情城市』&ホウ・シャオシェン監督を囲む座談会

愛知県芸術文化センターにて開催。 99年に在日台湾人の友人の里帰りについて行った台湾北部。本作は未見だったが、ロケ地の基隆と九分を案内してもらった。 帰国後、すぐにビデオで鑑賞。画面が小さいため、海や山、レトロな美しい景色を堪能できなかった。 …

 ブラックスワン

「母と娘」がテーマ。子離れ親離れの出来ない2人。バレエ界で挫折した母の願望は、娘に贈った白鳥の湖のオルゴール人形のように、完璧な踊りを娘が実現して成功すること。そのためなら過干渉も厭わない。 娘の方は母の期待がプレッシャーになり、依存と憎悪…

最新映画短評6本

*[最新映画短評] ・「ゲンスブールと女たち」 醜男なのにモテまくりの彼。イジメ、ユダヤ人、戦争などのトラウマを抱え、その反射として類まれな才能を開花させた。苦悩が人を魅力的にする典型。分身の暗躍は、彼の原点を解りやすく表現しているが、饒舌…

行 私を離さないで

社会の掃きだめにいる人々から生み出された、臓器移植のドナーとなる宿命の「クローン人間」。彼らをモノとして扱う国家。自分たちが生き延びるために、彼らの意識のあるうちに、臓器をむさぼり、取りつくす私たち・・・。 男女3人の主人公である「クローン…

昨年は、4月に右膝を骨折、猛暑で夏バテと散々だった。鑑賞本数も激減したが、印象に残った作品について記してみよう。 ・日本映画 悪人/キャタピラー/パレード/祝の島/葦牙/マザーウォーター/トイレット/ばかもの/告白/月下の侵略者 「悪人」では…